連載:1年半のスペイン生活(初日2)

語学学校から届いた書類には、まず、鍵を受け取るように書いてあった。地図には学校の近くの場所に印が付けられていた。しかし、荷物が多く、まずは、宿泊場所で預かってもらおうと、住む場所の最寄り駅を目指した。

駅に着いた。プラットフォームの両端に改札があるようだったが、どっちがより近いかわからず、適当に片方に行った。エスカレーターを上がり、改札を出て、駅員に地図を見せた。喋っていることはわからないので、とりあえず、指を指したほうの出口に行った。エレベーターはもとより、エスカレーターもなく、約20kgのスーツケースを持ち、階段を休み休み上がった。

地上に出ると、どっちに1歩目を踏み出せば良いかわからず、通りすがりの2人組に声をかけた。運良く、1人は英語を解したので、1歩目は、どっちに行けば良いかわかった。

こっちかこっちかと不安になりながら、地図を見比べながら曲がる場所、方向を確認し、なんとか第一の目的地に着いた。しかし、それはただのアパートだった。そのため、全く中に入れず、いわんや、荷物を預かってもらえる場所などなかった。