連載:1年半のスペイン生活(初日4)

お昼ごはんを食べ終わり、アパートに向かった。第一関門の玄関の扉は難無く開き、エレベーターで指示された部屋(101号室)がある10階まで上がった。

エレベーターを降りると左右に部屋があり、101号室なので左のドアを開けようと試みた。鍵はすんなり入り、回すこともできた。しかし、どれだけやっても、扉が開かない。もしかしたら、誰かいるかもしれないと思い、ドアをノックしたり、チャイムを鳴らしたりしたが、誰も出てこない。途方に暮れ、疲れ果てたので、玄関横の階段に腰を下ろして少し休憩し、再度挑戦したが開かない。

もしかしたら、部屋を間違えたのかもしれないと思い、とりあえず向かいの部屋のドアに鍵を挿そうとしたが入れることすらできなかった。

さらに、階も間違えたのではと思い、1階ずつ下がり、鍵を挿して試して行った。そうしていると、偶然、部屋の中から誰か声をかけて来た家があった。ただ一つ、いつか助けを求める日のために覚えた文章をいきなりここで使った。¿PodrÌas ayudarme?勇気を振り絞って出てきたのは本当に親切な人だった。実際、この時、こっちもだが、向こうも命の危険を感じていただろう。

それでも親切にも全く会話が成り立たない相手に真摯に対応し、事態を把握してくれ、一緒に10階の最初の部屋に戻った。そして、なんと、一発でいとも簡単に鍵を開けてしまった!!

どうやったのか全くわからなかったが、とりあえずお礼を言い、別れ、部屋に入った。入ると、ダイニングやキッチンは共用で、4つ程の部屋があるシェアハウスだとわかった。

自分の部屋は奥から2番目で、その部屋には簡単に入ることができた。

荷物もとりあえず片付け、学校への道程を確認しようと、部屋から出ると、スペイン生活を開始して初めて会う人に出会った。

「日本人ですか?」

「はい。」